私は以前、ワインショップで販売員をしていました。たくさんのお客様にワインをお選びしましたが、どんなワインが欲しいのかはっきりしているお客様ばかりではありません。
ワインのことはよく分からないけど試してみたい。特別な日だからワインを買いたいけど、普段飲まないからどれが美味しいか分からない。そんな方も多くいらっしゃいました。
そのようなお客様にも、ワインって美味しいと思っていただきたい。ワインを好きになって欲しい!そう思い、どうすればお好みに合うものをお選びできるか試行錯誤しながら接客していました。
ここでは私が接客する中で、ワインの味わいのイメージができていないお客様、イメージをうまく言葉で伝えられないお客様のお好みを知るためにしていた質問をご紹介します!
好みのワインが簡単にみつかる!4つの質問
好みのワインがみつかる質問1:赤と白ならどちらがいい?

赤ワインと白ワインでは色だけでなく味わいも大きく異なるので、これは一応最初に確認します。
とはいえ、赤と白の違いさえも分からないんだよ!という方もいると思いますので、その場合は他の質問もご覧いただいた上で、改めて赤ワインか白ワインか考えてみてくださいね。
あくまで“一般的には”ですが、赤ワインよりも白ワインの方が、ワインを飲み慣れていない方にも親しみやすいはず。最終的にはそれぞれの好き嫌いなので、一概には言えないのですが。
赤ワインには「タンニン」と呼ばれる渋みの成分が、白ワインより多く含まれています。この渋みにより、ワインを苦手だと感じる人もいるようです。
ワインを飲むのが初めて!というレベルの初心者なら、とりあえず白ワインにしてみましょう。特有の渋みがない分、馴染みやすくておすすめです。
一方で、赤ワインには抗酸化能の高い「ポリフェノール」なども多く含まれており、その健康効果を期待して飲む人もいます。黒ブドウの皮からくる華やかな香りも魅力的。
赤ワインでも渋みの少ないものもあります。色の濃さと渋みの強さはある程度比例すると考えてOK。赤ワインならまずは色が淡め≒渋みが少なめのものから試してみるのがおすすめです!
他にロゼワインやスパークリングワインもありますが、これらはどちらかというと白ワイン寄りです。(赤のスパークリングワインもありますが、白に比べるとずっと少ないです。)
まずは大まかに赤or白を選んでみましょう。
好みのワインがみつかる質問2.:普段はどんなお酒を好んで飲んでいる?

そもそもワインをあまり飲んだことがない人は、どんなワインが好き?と聞かれても困ってしまいますよね。
そこで私がよくしていた質問がこれ。「普段はどんなお酒を好んで飲んでいますか?」です!私はこの質問の答えを「甘口か、辛口か」「アルコール度数はどれくらいか」などの参考にしていました。
私がこの質問をするのは「そもそもお酒で辛口ってどういう意味?」と思われる方が割と多くいらっしゃるからです(私自身も初めはそう思っていました)。「辛口」というのは単に「甘くない」という意味ととらえてOK。唐辛子やワサビのような刺激的な辛さがあるわけではないのでご安心ください。
ワイン甘口に比べ、圧倒的に辛口のものが多いです。「辛口」を排除すると選択肢はかなり狭まってしまいますが、それでも普段甘いお酒しか飲まない方は中甘口〜甘口から試してみましょう。
普段よく飲むのがビールやハイボール、焼酎、日本酒などであれば、辛口ワイン。
一方でカクテルや甘めのチューハイ、梅酒のような甘いお酒しか飲んだことがないようなら、ワインも中甘口〜甘口のものがおすすめです。

またアルコール度数ですが、ワインは一般的に11度〜14度くらいのものが多いです。低いものだと10度未満のものもありますが、日本の一般的なビールが5度前後であることを考えると、ワインの方が随分度数が高いですよね。ですからビールと同じ感覚でワインを飲むと、あっという間に酔いが回るので要注意。
キンキンに冷えたビールをぐいっと飲むのが好き!という方は、アルコール度数が低めでライトな白ワインやスパークリングワイン。日本酒やウイスキーをゆっくり味わうのが好きという方は、ある程度度数が高めでコクの深い重さ(ボディ)がしっかりあるワイン、というのはいかがでしょうか?
あくまで一例ですが、普段飲むお酒をぜひ、ワインを選ぶときの参考にしてみてください。
好みのワインがみつかる質問3:どんな食べ物と合わせて飲みたい?

ワインを飲む時は、お食事と合わせることが多いと思います。ワインそのものの好みとは外れますが、どんなお料理と一緒に飲みたいか?はワイン選びのヒントになります。
選ぶ時のコツは、ワインとお料理の「色」と「味の濃さ」を合わせること。ワインに詳しくなくてもこのポイントを押さえるだけで、お食事に合うワインを見つけやすくなります。
この法則が必ずしも当てはまるわけではありませんが、初心者でも簡単に使えて汎用性が高い選び方です。少なくとも大外れすることは滅多にありません。
お料理とワインの組み合わせを考えるのって、難しそうなイメージですよね?肉には赤で魚には白とか、産地やブドウ品種がどうだとか……知識がないと分からないように思えてきてしまいます。
ですが決して難しく考える必要はありません!まずはシンプルに「色」と「味の濃さ」に注目してみましょう。美味しく楽しく飲むことが何より大事です。気軽に楽しみながら選んでみてください!
お料理にぴったりあうワインが見つかったときの感動はひとしおですよ!
好みのワインがみつかる質問4:どんなシーンで飲む予定?

これもワインそのものの好みとはズレますが、どこで、どんなシチュエーションで、誰と飲むのか?これが決まっているなら、ワイン選びのヒントになります。
自分1人で飲むのか、大人数で飲むのか。高級レストランに持ち込むのか、カジュアルなホームパーティの手土産にするのか。それによっても、その場に相応しいワインは違いますよね。ここでは例としていくつかのシチュエーションと、その場面に合いそうなワインを独断と偏見で考えてみました。
20歳になる友人へのプレゼント × 飲みやすくて見栄えもいい!甘口シャンパーニュ
20歳になる友人に、人生で初めて飲むお酒として贈るなら、甘口シャンパーニュはいかがでしょうか。シャンパーニュかつ甘口ならお酒が初めてでも美味しく飲めるはず。シャンパーニュは箱付きのものも多いですし、ボトルもグラスに注いだ時の泡もとっても華やか!贈り物にうってつけです。
友人と持ち寄りお花見パーティー × 華やかでお料理にも合わせやすい!カジュアルなロゼ
屋外でのカジュアルなパーティーなら、手頃な価格のカジュアルなワインを。赤と白の間をとったロゼワインは幅広いお料理に合う万能アイテム!誰が何を持ってくるか分からない持ち寄りパーティーにもってこいです。ロゼワインの淡いピンクが桜に映えること間違いなし!
頑張った自分へのご褒美に、癒しの1本 × アロマティックな白ワイン
ワインは香りも多種多様。ブドウ品種や醸造方法、産地などによっても香りは異なります。お好みは人それぞれなので、いろいろなワインからご自身の好きなものを見つけていただきたいと思うのですが、ここでは個人的に好きなものをご紹介。
ブドウ品種にはアロマティック品種とノンアロマティック/ニュートラル品種があります。アロマティック品種というのは、ワインになった時にブドウそのものの香りが強く感じられる品種です。それぞれの品種に個性があり、華やかな香りがあるものが多いです。
ワイン用ブドウとしてよく知られる「シャルドネ」は、実はニュートラルな品種。品種自体にはあまり個性的な香りがありません。なので醸造方法や熟成によって、ブドウとは別由来の香りがつけられることが多い、いわば「お化粧美人」な品種なのです。
私自身は、アロマティック品種が好み。中でもリースリングやゲヴュルツトラミネールなどの、フルーティーかつ花のような香りのある品種が大好きです。グラスから溢れ出す華やかな香りは思わず深く吸い込みたくなるほど。辛口でもほんのりと甘味を感じ、鼻から抜ける香りまで心地よいワインは優雅で穏やかな癒しのひとときを与えてくれます。
最後だけ長くなりましたが(笑)、このようにどこで飲むか?誰と飲むか?などもワイン選びの参考になります。迷った時は、具体的なシチュエーションをイメージしてみるのも一つの手ですよ。
好みのワインがみつかる質問番外編:予算は?

これは好みのワインを見つけるための質問ではありませんが、とはいえ美味しければ値段はいくらでもOKというわけではありませんよね。予算ありきの人がほとんどだと思います。予算がある場合は、店員さんに先に伝えておきましょう。
ちなみに私がワインエキスパートの資格取得のためにスクールに通っていた時は、最低でも1本2,500円〜3,000円くらいのワインを飲むようにと言われました。
これはあくまで「勉強のために飲む」のであればという話です。ブドウ品種や産地の特徴がしっかり出ているワインを飲まなければ意味がなくそのためにはこれくらいの金額を出さなければダメだということでした。それが10年ほど前の話なので、今は値段が上がっているかもしれませんね……。
しかし高いワインを買わないと楽しめたいのかと言われれば、決してそんなことはありません。個人的には、安くても美味しく普段飲みならこれで十分!というものがたくさんあると思っています。
ワインだってチューハイや缶ビールを仕事帰りに買って帰るのと同じくらい、気軽に日常の飲み物として楽しみましょう!
ワインは難しくない!もっと気軽に楽しく選んで大丈夫!
ワインを選ぶのってなんだか難しそう……そう思っていませんでしたか?ですがここまで見てきたような質問なら、ワインの知識がない人でも簡単に答えられますよね。
- 赤ワインと白ワインならどちらがいい?
- 普段はどんなお酒を好んで飲んでいる?
- どんな食べ物と合わせて飲みたい?
- どんなシーンで飲む予定?
以上が、私がワインショップ店員だった時にお客様によくしていた質問です。これら質問の答えを考えれば、あなたのイメージに近いワインがきっと見つかるはず。小難しいことは考えずシンプルに!気軽に楽しくワインを選んでみてくださいね!
みなさまが、一口で感動をおぼえるような美味しいワインに出会えることを願っております!
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